病棟紹介
2023年12月の新病院移転に伴い
個室8室、4床室10室の計48床へと拡大しました。
入院病床のすべてを地域包括ケア病床で運用しております。
個室
4床室
リハビリ室
特殊浴槽
在宅や高齢者施設からの入院受入、急性期治療を終えた方のリハビリテーション、在宅復帰支援など、地域住民の在宅生活を支えるための入院医療を心がけています。
地域包括ケア病床について
地域包括ケア病床は、急性期治療後の患者様や、在宅・施設療養中の方々が在宅復帰に向けた効率的な医療・看護・
リハビリを行うための病棟です。
また、在宅療養中の患者さんに入院が必要となったとき、地域の先生方から依頼を受けて支援する病床でもあります。
- もう少し経過観察が必要になる方
- 在宅復帰へ向けて積極的なリハビリが必要な方
- 在宅での療養準備が必要な方
などが対象となります。
当院の取り組みについて
当病棟では、医師・看護師・リハビリスタッフ・医療ソーシャルワーカーなど様々な職種のスタッフが積極的にカンファレンスを行い、定期的に患者さんの状態変化を共有する取り組みを行っています。
入院して受ける医療によって入院前と退院後の生活状況がどう変わるかを話し合い、ご家族のサポート体制、家屋環境などを総合的に検討していきます。
また、地域や関連する施設との連携を大切にし、亜急性期から在宅への「架け橋」の役割を果たすことを意識しています。
当院入院患者さまは高齢且つ認知症を有している方も多数おられます。入院に伴う環境変化によるせん妄の出現や転倒などが生じるケースもあります。
そこで当院では転倒転落対策カンファレンスや認知症カンファレンスなど様々な取り組みを行うことで患者さまが安心、安全に病院生活を過ごしていただけるように努めています。
嚥下機能評価にも重点を置いており、「最後まで口から食べたい」という思いに応えるべく、VF、VEなどの検査体制も整えています。
院内活動について
在宅療養支援病院として緊急入院が多い中、身体機能へのアプローチだけでなく作業活動や園芸活動を通じて生活リハビリを意識して取り組んでいます。
また、春のお花見、夏祭り、クリスマス会など患者さまに楽しんでもらえるような企画をし、職員全体で取り組んでいます。
栄養サポートチーム
(NST:Nutrition Support Team)
NST(栄養サポートチーム)では医師・看護師・薬剤師・管理栄養士などを中心に職種の壁を越え、それぞれの知識を持ち寄り、専門チームとして栄養管理をおこなっています。
栄養サポートチームの目的は、栄養スクリーニング(栄養障害の有無を診断)によって抽出された中等度及び高度の栄養リスクを持つ患者様の栄養管理を適切に実施し、患者様の病態の改善、疾病の完解、合併症発症の予防を図ることであり、最終的には患者様のQOL向上へ繋げていきます。
当院のNSTの主な活動について
- ◆ カンファレンスの実施
- 週1回開催
- ◆ 定例会議の実施
- 月1回開催。活動の振り返り・適正化、今後の活動の検討、学習会等
- ◆ 院内学習会の開催、NST便りの発行
- 栄養や褥瘡に関して、職員の情報共有やスキルアップを目的に不定期開催・発行
- ◆ メンバー構成
- 医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士
カンファレンスの流れ
- 栄養スクリーニング
看護師が入院時に簡易栄養状態評価表(MNA)を記入し、栄養評価スクリーニング表(食事摂取量、採血データ、褥瘡の有無、浮腫の有無)を作成しています。 - 階層化
リストアップされた患者様の最終介入必要性の有無をカンファレンスにて判断します。
管理栄養士が栄養治療実施計画書を作成し、患者様へ説明の上交付します。 - 回診
毎週水曜日15時よりNST回診を行っています。
栄養状態に問題がある方、また将来的に栄養障害のリスクがある方に対し、適切かつ質の高い栄養療法を検討し主治医へ提案します。
具体的な提案内容は食事内容の変更、点滴・内服の変更、栄養補助食品の追加などです。また他のチームとも連携し情報を共有しています。
褥瘡がある方へは状態の評価、治療・栄養管理方法の検討、主治医への提案も行っています。 - 効果評価
回診時に変更したプランで食事量や栄養状態などに変化があるかを毎週評価しています。
介入終了時には栄養治療実施報告書を作成し患者様へ交付します。
認知症ケア
サポートチーム
(DST:dementia support team)
認知症によって引き起こされる行動により、治療が安全かつ円滑に進まない事があります。DSTは認知症の悪化を予防し、治療をスムーズに受けられることを目的として活動する多職種の集団(チーム)です。
また原疾患に伴いせん妄症状が出現している方、もしくはせん妄歴をある方に対して、多方面からケアやアプローチを実施しています。
当院のDSTの主な活動について
- ◆ メンバー構成
- 医師(認知症サポート医)、看護師、社会福祉士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士、ケアワーカー(介護職)
- ◆ 認知症、せん妄カンファレンス
- 認知症の方や原疾患によりせん妄が出現した患者様に対して、薬の調整相談や適切な関わり方、身体ケアを中心とした環境設定を話し合っています。
- ◆ 病棟ラウンド
- 入院に伴い急激な環境の変化が生じます。ご本人に少しでも安心していただくため、馴染みのある物や状況理解を助けるアイテム(時計やカレンダー)がベッド周囲に配置されているかなど、ベッド周囲の環境を評価します。
また転倒のリスクも高まるため、ベッドセンサー類の適正使用についても定期的に話し合います。 - ◆ 認知症カフェ
- 不定期で、地域の方に向けての認知症の勉強会を実施しています。
本人もしくは、家族の相談会や、認知症予防に関する情報の発信、介護サービスの理解など幅広く情報を発信しています。
実施の際には、当院の外来にポスターを掲示しています。 - ◆ 定例会議
- 月に1回、構成メンバーにより業務改善や院内の勉強会、認知症カフェの開催予定の確認を行っています。
さいごに
入院は患者様にとって不快刺激が多く、病気による身体の不調を感じ慣れない環境の中で治療を受けます。そのため、日頃できていたことが上手くいかず不安になり、さらに環境の変化から混乱してしまうことがあります。
認知症の方が抱える身体の苦痛や心のつらさを理解し、安全な療養環境を整え、安心して治療が受けられるように支援していきます。
口腔ケア嚥下チーム
誤嚥性肺炎など様々な原因により、口から食事をとることが難しい患者様がおられます。
しっかりと栄養を確保することは、病気の早期回復や合併症予防に欠かせません。
口腔ケア嚥下チームでは、口を清潔に保つこと、噛む機能や飲み込む機能に合わせた食事を提供し、
安全に美味しく食べていただくことを支援しています。
当院の口腔ケア嚥下チームの主な活動について
- ◆ メンバー構成
- 言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、ケアワーカー(介護職)
- ◆ 入院初日に口腔評価(OHAT)を行い、必要なケアを早期に提供します
- ◆ 口腔ケアに必要な物品を選定し、効果的な手順を考案します
- ◆ 個々の能力に合わせて、適切な食事条件や介助方法を設定します
- ◆ ケアや介助方法の質改善のために、講習会や直接指導を行っています
共立歯科との連携
歯科往診・歯科衛生士の専門的ケアは、入院中でもご利用いただけます。歯科からの情報は、院内スタッフと共有し、日常ケアに生かしています。
義歯調整のほか、舌接触補助床(PAP)といった特殊義歯を歯科が作成し、言語聴覚士が食事訓練で活用を支援する事例もあります。
歯科衛生士との連携
PAP(舌接触補助床)
特殊義歯を使った摂食訓練
(舌をつかい飲み込みやすくするため)
その他
言語聴覚士を中心に、最新の知識技術を取り入れながら、質の高い口腔嚥下機能リハビリテーションを提供できるよう努めています。
排泄委員会
(CST:Continence Support Team)
患者様・利用者様・家族様の満足度が向上するように、チームメンバーが知識や技術を出し合い、その方に最適な排泄ケア(コンチネンスケア)を計画・実践・評価するチームです。
当院のCSTの主な活動について
- ◆ メンバー構成
- 看護師、ケアワーカー(介護職)、管理栄養士、理学療法士、作業療法士
- ◆ 排泄委員会の活動
- 月1回の定例会議 週1回のベッドサイドへのラウンド
- オムツの選定
- 排泄困難者の対応の検討
- 皮膚トラブルへの対応
- トイレ誘導の検討
- 飲水チェックや排泄チェックの検討
- 飲水を促す院内放送
- トイレの環境や排泄に関わる事全般
- ファイバーの導入の検討
- 排泄に関わるリハビリの相談
- ◆ 活動実績
- 介護トイレのカーテンの設置
- 足置き台の作製
- 詰所やベッドサイドに共有ツール設置
- 排便コントロール不良に対するフローチャートの作成
- ケアカンファレンスでの排泄についての情報共有
- 排便スケールを用いてのカルテへの統一表記
- オムツの種類の変更や回数の見直し、皮膚保護剤の導入で皮膚トラブルの軽減
- トイレ誘導増加によるオムツ離れアップ
- 薬剤に頼らない排便コントロールに着目してサンファイバーの導入
- 全職員に向けた年6回の学習会の開催、おむつ当て排尿体験
第1回 | 正しいおむつの当て方 |
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第2回 | コンチネンスケア 排便、排尿のメカニズム |
第3回 | 排泄リハビリについて |
第4回 | 水分・オリゴ糖・食物繊維について |
第5回 | 食物繊維サンファイバーについて |
第6回 | 下部尿路機能障害について |